BIOMOD東大チームは東京大学生産技術研究所 藤井研究室の研究活動の一環として活動を行なっております。
藤井研究室は1999年に設立され、マイクロ流体デバイス技術を様々な分野へ応用する研究を行なっております。 マイクロ流体デバイスとは、半導体の製作にも用いられるMEMS技術を利用して作成した、マイクロ流路などの微細構造を持つ小型チップデバイスのことです。近年では生化学分析装置としての応用、商業化が進んでいる分野です。分析や試験に必要となる試料が少ない量の資料から、精度の高い情報を簡便に得ることができる点が大きな特徴です。また、装置自体が小型軽量になることも大きなメリットです。例えば人が携帯しながら健康状態をモニターするヘルスケアチップや、患者が病院へ行くことなく自宅で医療検査を行うpoint-of-careデバイス、あるいは宇宙や深海といった極限環境に装置だけを送り込んでその場で計測・分析を行う現場分析装置など、実用化に向けた研究を進めております。産学連携にも力を注いでおり、緑内障治療インプラントデバイスの開発や、マイクロ流体デバイスを用いた細胞培養技術を生かして医療分野やコスメ分野との共同研究を行っております。
また、藤井研究室はマイクロ流体デバイスによる解析装置の開発にとどまらず、生化学反応を人工的に設計する、分子回路デザインの研究も行っております。当チームのメンターを担当しているDNAグループは、PEN DNA toolboxの研究と、化学反応の解析のためのプラットフォームの開発などを進めてまいりました。
PEN DNA toolboxは藤井研究室とESPCIのヤニック・ロンドレーズ研の共同研究によって開発されたDNA-酵素間の化学反応のアセンブリツールです。PEN DNA toolboxを利用して適切に化学反応回路を組むことで、生体反応を模倣した分子信号をDNA濃度の時間変化によって表現することが可能になります。この技術を用いて生体分子の演算を行うことにより、マーカーになる分子の計算によるがんの早期診断や予後のモニタリング、分子ロボットの計算機能の実装への応用など、様々な応用が考えられます。
藤井研究室では、このようなマイクロ流体デバイスや生化学反応ツールの研究を体験することを通じて、我が国の未来を担う将来のリーダー達に知見を深めてもらう場を提供するとともに、学際的なシーンで新たなイノベーションを起こすきっかけとなって欲しいという考えで研究協力を行っております。

藤井研究室 学生メンター 一同

藤井研究室ホームページはhttp://www.microfluidics.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html

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